<第1回> 赤潮とは?

1 赤潮について

 東京湾や伊勢湾,瀬戸内海などで褐色の海に気付いた人も多いでしょう。このように海水が着色する現象は赤潮と呼ばれる。特に夜光虫赤潮は鮮やかな朱色を呈し,赤潮の代表と言える。夜は名前のとおり暗闇の中で刺激により青白く発光し,美しくもある。 写真で様々な赤潮やアオコを紹介する。いずれも海あるいは湖の着色が明らかである。赤潮は水中の微小なプランクトン,特に植物プランクトンの大量増殖や集積の結果発生する。色調は原因となるプランクトン種によって異なり,赤色だけでなく赤褐色,褐色,黄褐色,黄緑色,緑色など様々である。非生物の浮泥,クラゲやアミエビ類等の大型動物プランクトンの集合等は,赤潮とは呼ばれない。径30μm程度の鞭毛藻の場合は海水1mL当たり約1,000細胞,光合成色素のクロロフィルa農度で50μg/Lが赤潮の目安とされている。

2 淡水赤潮とアオコ

 湖沼や池で発生すると淡水赤潮と呼ばれ,藍藻類による場合はアオコと呼ばれる。有害有毒なアオコは,水の毒化や着臭を通じて飲料水の利水障害の原因となる。かつてはオーストラリア等で放牧家畜の大量斃死事故を起こし,ごく近年の米国のエリー湖ではアオコによる水の毒化で飲料水が得られないという事件があった。我が国では「臭くて不味い水道水」が問題となっている。

3 赤潮は地球環境問題

 主要な赤潮原因種は海の基礎生産者として重要な植物プランクトンの仲間であり,その増殖に窒素,リン等の栄養物質が必要であり,通常の植物プランクトンと共通である。大都市には多くの人が住み,窒素,リン等の栄養物質は海に流入して沿岸域は富栄養化することから,人間活動と赤潮の発生は大変密接な関係にある。その様な意味で沿岸域の富栄養化と赤潮は,地球環境問題として捉え対応を考える必要があろう。

・様々な赤潮

様々な赤潮
A 韓国麗水の沖合で観察されたコクロディニウム赤潮;B 北海道渡島大沼におけるアオコ;C 大阪湾の淀川河口の珪藻赤潮;D 鹿児島湾における夜光虫赤潮。